日本原子力学会核データ部会、日本原子力研究開発機構のJENDL委員会などと緊密に連絡し活動を行っています。

 

活動内容

 

2024年度将来の核データワークショップ「核分裂その2」

●開催の主旨 
核分裂は、原子力エネルギー利用などの基礎となる現象である。中性子吸収核分裂を利用する原子炉の設計では、即発中性子エネルギースペクトルの広がりを受け、入射中性子20MeVまでの核データがライブラリーとして整備されてきた。核分裂が関与する核データは、核分裂片の収率、即発中性子エネルギースペクトル、さらに遅発中性子など多岐にわたるが、これらは、基本、それぞれ独立に評価が行われてきた。

長寿命マイナーアクチノイド核種の減容をめざした核変換炉等の設計では、より高いエネルギー、より広い核種までのデータが求められる。一方、これらを実験で網羅的に測定することは難しい。そこで、核分裂がもととなる核データ評価においては、核分裂プロセスに立ち返り、複合核から原子核の切断までをシミュレーションし、首尾一貫した枠組みで評価することが望まれる。この場合、特定の実験データは、他の核分裂データにも直接・間接的にフィードバックされる利点がある。実際、欧米では「核分裂ジェネレータ」の発生による評価方法の取り組みが行われている。

日本原子力学会のシグマ調査専門委員会は、将来のJENDL核データ評価の取り組みとして、「核分裂ジェネレータ」を取り入れる評価方法を提言している。日本は、核分裂理論において世界をリードする立場でもあり、より基礎過程に立ち返ったジェネレータを構築できると考えている。この機に、国内の核分裂に関する理論・評価について情報を共有するとともに、今後の取り組みについても議論することとしたい。


●開催情報
日程:     2025年1月24日(金)
開催場所:    東京科学大学大岡山キャンパス緑が丘6号館1階102多目的室1およびZoomによるハイブリッド開催
参加登録用ウェブサイト:https://forms.gle/7RmiEtnhdY9LenWo6
発表形式:    口頭
想定される参加者人数:    約30名

●プログラム
1月24日(金)

10:30 - 10:35 オープニング JAEA/西尾勝久
10:30 - 11:05 JENDLの核分裂データの現状とCCONEによる計算 JAEA/岩本修
11:05 - 11:35 自発核分裂における集団運動の微視的記述:集団ポテンシャルと集団慣性 筑波大/鷲山広平
11:35 - 12:05 微視的平均場模型による核分裂現象の記述 埼玉大/江幡修一郎
12:05 - 12:35 非平衡グリーン関数法を用いた核分裂断面積の微視的導出 京大/鵜沢浩太朗
12:35 - 13:45 ランチブレイク  
13:45 - 14:15 現象論的理論模型を基盤した核データ応用への利点・限界点および将来への展望 近大/有友嘉浩
14:15 - 14:45 Cassiniパラメータを用いた6次元Langevin方程式による核分裂ダイナミクス JAEA/岡田和記
14:45 - 15:15 Langevin模型に基づく独立収率の導出 東京科学大/石塚知香子
15:15 - 15:30 ショートブレイク  
15:30 - 16:00 全体討論  

 

 

将来の核データワークショップ「残留核の反跳」

 

昨年度から調査専門委員会では将来の核データワークショップと題して、今後整備すべき核データに関してオープンな議論をする場を設けてきました。今回開催する将来の核データワークショップ「残留核の反跳」は昨年度シグマ調査専門委員会内で検討した医療用同位体・照射治療被ばくに関する議論に端を発するものです。二次被ばく線量評価や半導体のソフトエラーの要因として今後重要性を増すであろう「残留核の反跳」に関して、測定・評価手法の可能性やあり方を広く議論することを目的としています。ぜひ奮ってご参加ください。


開催日時:2024年8月5日(月)13時00分~16時30分
開催形式:現地参加とZoomのハイブリッド
開催場所:東工大大岡山キャンパス 事務局1・2号館2階会議室
https://www.ssc.titech.ac.jp/amap/home/ookayama/east/administration-bureau-bldg1_2/

参加登録:https://forms.gle/D1fSKC3ZJZeN9vs17
 ※参加登録は必須です。上記Google formより御登録願います。
登録〆切:2024年8月2日(金)17時00分  

本ワークショップのご講演は招待講演のみとなりますが、活発なご議論を期待して、議論の時間を多く取っております。皆様の奮ってのご参加お待ちしております。

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≪プログラム≫(敬称略)
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13:00-13:30 佐藤達彦 (JAEA) 「PHITSとJENDL-5を組み合わせた医学物理計算の問題点」※オンライン

13:30-14:00 川畑貴裕 (阪大) 「アクティブ標的TPCを用いた残留核の測定」

14:00-14:30 大津秀暁 (理研) 「逆運動学法を用いた終状態の同定と核データへの寄与」

14:30-15:00 休憩

15:00-15:30 湊太志 (九大) 「ミューオン捕獲反応における反跳エネルギー計算について」※オンライン

15:30-16:00 岩元洋介 (JAEA) 「PHITSを用いたPKAスペクトルと弾き出し断面積」

16:00-16:30 岩本修 (JAEA) 「JENDLにおける反跳核エネルギースペクトルの評価」
 

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世話人(あいうえお順)
合川正幸(北大)、石塚知香子(東工大)、片渕竜也(東工大)、新倉 潤(理研)、
深堀智生(JAEA)、福田 茂一(QST)

 

 

シグマ調査専門委員会の歩み

シグマ委員会・核データ研究グループ年表 核データニュース No. 134 2023年2月

原子力研究開発の基盤としての核データ 日本原子力学会誌ATOMOΣ 2023年12月

核データが原子力研究開発の礎となるために 日本原子力学会誌ATOMOΣ 2022年7月